9/18(木)幸福な王子
有名な児童文学の一つに、十九世紀のアイルランドの作家、オスカー・ワイルドが記した『幸福な王子』があります。
ある国に「幸福な王子」と呼ばれる美しい王子がいましたが、彼は早くに亡くなりました。その死を惜しんだ人々は、町の中心に王子の銅像を建てたのでした。
やがて、その王子像は自我をもつようになり、町で暮らす人々の様子をつぶさに観察するようになりました。そこで困っている人々に自分が身に着けているサファイア、ルビー、金箔などの装飾品を届けるようツバメにお願いしたのでした。
時は経ち、冬が訪れた頃、王子像は装飾品がすべて無くなり、みすぼらしい姿になっていました。ツバメも徐々に衰えて、王子像の脇で力尽きたのでした。
その様子を見ていた神は天使に「この町で最も尊い二つの存在をここに運んできなさい」と命じると、天使は王子像とツバメを運んできました。この二つの尊い存在は永遠の命をさずかり、楽園で幸せに暮らすようになったのでした。
困っている人がいたら、手を差し伸べることができる自分になりたいものです。
今日の心がけ 困っている人に親切にしましょう
職場の教養感想
十九世紀アイルランドの作家オスカー・ワイルドが記した『幸福な王子』は、銅像となった王子が町の人々の苦しみを知り、ツバメを通じて自らの宝飾を困窮者に与える物語です。やがて王子像は飾りを失い、ツバメも命を落としますが、神は二つを「最も尊い存在」として楽園に迎えました。困っている人へ親切にすることの尊さが描かれています。
この物語の本質は「自らの持ち物を人の幸せに転換する力」にあります。王子は自分の輝きを失うことで、人々に生きる希望を与えました。職場に置き換えると、私たちも知識や経験、あるいは笑顔や励ましといった“目に見えない資産”を分かち合うことで、周囲の力になります。
しかし、万人幸福の栞第十六条にあるように「己を尊び、人に及ぼす」ことが肝心です。自分を整え、幸せにしてこそ、人への支援が持続的で力強いものになるのです。王子とツバメの献身は美しいですが、現実の職場では「自己を犠牲に尽くす」ではなく、「自分の充実を基盤に人に及ぼす」ことが理想だと気づかされます。